男 性 私的 幻想

http://marcon.g.hatena.ne.jp/Marco11/20080219/gendergap

上にちょっと関連して。
性的/性的能力的に未熟であるが故に、、、みたいなのは時折見る意見だけど、本当かな、と思う。この言葉が妥当するとしたら、それは象徴的にであって、いわば精神分析的になのだと思う。そこから社会現象を説明するのは無理が、、、、と感じないでもない。

被害者の落ち度を指摘したい人たちの動機はそれぞれだろうけど、今回の件に関しては被害者が「少女」であることと明らかに結びついており、その意味で性的な要因が根本動機の一部を構成していることは疑いようも無い。この種の「落ち度」論がそれを読む人に不快/快感をもたらすのは、各人のこの性的な部分を刺激するからだ。
この性的な部分というのは当然(各人の)私的な部分なわけで、だからオイオイと思うのは、その論理に公私の混同が起こっているからだ。

被害者が何からの心構えをしておくべきだったのは当然だが、それはいわば私的な領域での話で、「社会問題」としての性犯罪に対置されうる言葉ではない。
水準として違うというか、各個人がどのように振る舞い、どのような躾を受けているかということは私的な問題に過ぎないはずだ。「オマエにも落ち度があった」と言うのは私的な空間で話されるときには正しいし、単に(現実の犯罪から切り離されて)一般論として語られるときにも妥当だろうが、ただそれはいかなる意味でも「罪」ではないわけだ。
したがって実際に起こった「犯罪」と「落ち度」を同じ文脈で比較できるものでは無いし、しているとしたら何かを(公私を?)混同しているからだ。

実際、これが犯罪に至らず、2人が意気投合してイイ関係になったとしたら、それは彼女の私的な問題で、逆に性犯罪に巻き込まれても私的な(自業自得な)ことだ。声をかけて来た米兵にどう対処するかは彼女の私的な問題だから。
ただそれはあくまで「彼女にとって」だ。実際、前者の場合は誰も気にしないが後者は社会問題になる。そして社会問題になるのは「犯罪」であって彼女の対応ではない。彼女の対応はどの観点からも反社会性を持っていないからだ。
ただこれを「性」の問題として見る人は、この水準を混同する。その人にとって本質的に「犯罪」は問題ではなく、それをためらい無く捨象して語ることができるからだ。
米兵の「性衝動」と彼女の「落ち度」が同じ「性」の問題として(つまり「男女関係」の水準で)評価される。

では何故彼はこれを「性」の問題としてのみ見てしまうのか?
要するに、レイプは公的な水準で犯罪なのだということが腑に落ちない人がいるのだろう。


※結論ナシ 以下妄想

これは上記エントリにあるような処女性・貞操の観念の問題でないように思う。その場合男性は処女性を喪失した相手を単に軽蔑するが、「彼ら」は恐らくそうではないと思うからだ。
彼女の「落ち度」の指摘は私的な言説で、したがって本当は指摘者は彼女自身に面と向かって言いたいのだろう。彼女と一対一の関係にあることが(潜在的に)希求されている。この幻想の対関係は一体なんだ? 同朋としての強いシンパシーか? 単に性的な欲動か? いずれにせよ加害者のことはもうどうでもよくなっているのだ。